「カメラを買ってみたいけど、難しそうで不安…」
「写真が暗くなったり白くなったりするのはなぜ?」
そんな悩みや疑問を持っているあなたへ。
カメラを楽しく続けるために最初に知っておくと安心なのが「露出」の考え方です。
写真の仕上がりに大きく関わる「明るさのコントロール」。
難しそうに見えるかもしれませんが、ポイントを押さえれば誰でも理解できます。
この記事では、カメラ初心者でも一歩ずつ確実に理解できるように、専門用語をかみくだいて説明します。
「どうして明るくなるの?」「どこを触ればいいの?」そんな疑問にすべて答えます。
露出ってなに?一言で言うと「写真の明るさ」のこと
カメラで写真を撮るとき、写真が「明るくなるか」「暗くなるか」を決める大事なしくみがあります。それが「露出(ろしゅつ)」です。
もっとやさしく言うと、カメラがどれくらい光(ひかり)を取りこんで写真にするかということです。
たとえば、太陽が出ている昼間に写真を撮ると明るくなりやすく、夜のように光が少ないと暗い写真になります。カメラの中に入る光の量が多ければ、写真は明るくなり、少なければ暗くなります。
- 光がたくさん入る → 明るい写真になる
- 光がすこししか入らない → 暗い写真になる
この「光の量」をうまくコントロールすることを「露出を調整する」といいます。そしてこの光の量は、カメラの3つのだいじな設定で決まります。
このあと紹介する3つの設定は、たとえるなら料理のレシピのようなもの。どれくらい火を入れるか(シャッター)、どれくらいの大きさで調理するか(絞り)、どれくらい味を強くするか(ISO)——このバランスで、写真の「ちょうどいい明るさ」を作り出すのです。
露出を決める「3つの要素」:最初は名前だけ覚えてOK
1 シャッタースピード(光を入れる「時間」)
シャッタースピードとは、カメラのシャッターが開いている時間のことです。シャッターが開いている間、レンズを通して光がカメラの中に入ってきます。この時間が長ければ長いほど、たくさんの光が取り込まれ、写真は明るくなります。逆に、短ければ光の量が少なくなり、写真は暗くなります。
たとえば、あなたが暗い夜の街で撮影をしているとしましょう。そのままでは周囲が暗くて写真が真っ黒になるかもしれません。そんなときは、シャッタースピードを長く設定(例えば1秒、5秒など)することで、より多くの光を取り込み、夜でも明るく写すことができます。ただし注意点があります。シャッターを長く開けるということは、その間ずっと光を受け取っているということ。もしカメラが少しでも動いてしまうと、写真全体がブレてしまいます。なのでこの場合は、三脚を使ってカメラを固定するのが基本です。
実例としては、夜の道路で車のライトが線のように流れる幻想的な写真があります。これはシャッタースピードを数秒間に設定して撮影した「長時間露光」の一例です。
一方で、日中の明るい場所で子どもがジャンプしている瞬間や、犬が走っている瞬間を撮るとします。このように一瞬を切り取るには、シャッタースピードを速く(例えば1/500秒、1/1000秒など)設定する必要があります。そうすることで、動きが止まってピタッとした鮮明な写真になります。速いシャッタースピードは光の量を少ししか取り込めないため、明るい場所でないと暗く写ってしまいます。
📌 カメラ初心者の方には「1/100秒前後」のシャッタースピードがおすすめです。これなら手ブレしにくく、日常生活でのスナップ撮影にもちょうど良いバランスが取れます。
このように、シャッタースピードは「どのくらいの時間、光をカメラに取り込むか」という非常にシンプルな考え方ですが、写真の表情を大きく変える重要な要素です。
2 絞り(F値)
絞りとは、レンズの中にある「光の通り道の大きさ」を調整する部分のことです。人間の目でたとえるなら、瞳孔の開き具合にあたります。明るいところでは目が細くなり、暗いところでは目が開くように、カメラの絞りも光の量に応じて調整することで、写真の明るさをコントロールできます。
この絞りの開き具合は「F値(エフち)」という数値で表されます。
- F値が小さい(例:F1.8やF2.8など)
- 絞りが大きく開いて、たくさんの光が入ります。
- 写真は明るくなり、被写体以外の背景が大きくぼける(=浅い被写界深度)ので、ポートレート撮影などに最適です。
- 例:人物だけがくっきり写っていて、背景がふんわりぼけている写真。
- F値が大きい(例:F11やF16など)
- 絞りが小さくなり、通る光の量が少なくなります。
- 写真は暗くなりやすくなりますが、全体にピントが合いやすく、風景写真や集合写真などに向いています。
- 例:山から手前の花まで全部にピントが合っている風景写真。
📌 絞りを変えると、単に明るさが変わるだけでなく「背景のぼけ具合(ボケ感)」も変化するのがポイントです。背景をぼかして被写体を目立たせたいときはF値を小さく、全体にピントを合わせたいときはF値を大きくしましょう。
3 ISO感度(光を「感じる」力)
ISO感度は、カメラが光をどれくらい「敏感に感じるか」を示す値です。明るさの調整の中で、シャッターや絞りで足りないときに補う「裏方的な役割」を持っています。
- ISOを高くする(例:800、1600、3200など)
- 少ない光でもセンサーがしっかり反応して明るく写るようになります。
- 夜景や室内、手ブレを避けたい場面で活躍します。
- ただし、感度を上げすぎると写真にノイズ(ざらつき)が出やすくなるのが注意点です。
- ISOを低くする(例:100、200など)
- 光に対する感度は低くなりますが、そのぶん画像がとてもきれいになります。
- 十分な明るさがある屋外や日中の撮影に適しています。
📌 ISO感度は、光が足りないときの「最後の頼みの綱」。ただし、高くしすぎると画質が落ちるため、できるだけシャッターと絞りで調整し、それでも足りないときに頼るのが基本です。
この3つのバランスが「写真の明るさ」を作っている
シャッタースピード(光をどのくらいの時間カメラに入れるか) + 絞り(光が入る入り口の広さ) + ISO感度(カメラが光をどれだけ敏感に感じるか)
この3つの組み合わせによって、写真の明るさ=露出(ろしゅつ)が決まります。
たとえば、真夏の昼間の公園で遊んでいる友だちを撮るなら、明るすぎる光をうまく調整するためにシャッタースピードを速くしたり、絞りを少し小さくしたりして、ちょうどいい明るさにします。
逆に、夕方や夜のように光が少ないところでは、シャッターを長めに開けて光をたくさん取りこんだり、絞りを大きく開けたり、ISO感度を上げて光にもっと敏感にさせたりします。
このように、光の量が足りないときは「どうやって光をもっと取り込むか?」を考え、光が多すぎるときは「どうやって光をおさえるか?」を考えることで、自分の思い通りの写真が撮れるようになるんです。
プロのカメラマンも、この3つを状況に応じてじょうずに使いこなしています。たとえば動いている電車を止まっているように見せたり、背景だけぼかして人の顔を目立たせたり、夜でも明るく見せたり——全部この3つのバランスのおかげです。
「でも難しそう…」そんな人へ:最初はオートやPモードでOK
「シャッター? 絞り? ISO? なんだか難しそう…」
そう思った人も安心してください。
カメラには「P(プログラム)モード」や「A(絞り優先)モード」など、初心者の人にやさしい設定モードがあります。
これらのモードでは、
- カメラが自動でちょうどいい明るさを考えてくれる
- 自分は一部だけ選べばOK
というしくみになっているので、難しい設定を全部自分で考えなくても大丈夫です。
たとえば「背景をぼかしたいな」と思ったら絞りだけ選べば、あとはカメラが自動でシャッタースピードやISOを調整してくれます。
最初はこのようなモードから始めて、写真を撮る楽しさを知っていくのがおすすめです。
慣れてきたら、少しずつ自分で設定を変えて「明るさのコントロール」を体験していきましょう。