キャンプやアウトドアでは、道具を「どう持ち運ぶか」「どう整理整頓するか」が大きな課題になります。ペグやハンマー、焚き火台のパーツ、ツール類など、小物から中型ギアまで用途は多岐にわたります。そんなときに活躍するのが、スノーピークの「マルチコンテナ」。
その名の通り、多用途に使える収納ケースで、ただ“入れる”だけではない、「運ぶ」「守る」「仕分ける」までを考えた設計が光ります。今回はこのマルチコンテナを、サイズ展開・構造・耐久性・使い勝手・実際の使用感など、徹底的にレビューします。
スペック概要とバリエーション
まずは製品の基本情報から。
■ 素材と構造
- メイン素材:6号帆布(Sユニットのみ10号帆布)
- 補強:底面・側面に樹脂製の堅い補強板入り
- 内部:面ファスナー付きポケットあり(フタ裏)
- 持ち手:中央と両端の2箇所(Sユニットは中央のみ)
■ サイズバリエーション(mm)
- S:340×140×150(小型ギア向け)
- M:440×160×150(万能サイズ)
- L:540×180×160(長尺物もOK)
- Sユニット:380×265×130(IGTシステムなど専用)
それぞれ用途が異なり、ユーザーの持ち物に応じて選べる設計です。
実際の使用感と魅力
1. 【収納力】「ちょうどいい」が詰まった内寸設計
例えばMサイズであれば、ハンマー・ペグ一式・小型ランタン・火ばさみといった一通りの焚き火周りギアが余裕をもって収まります。内部はシンプルな一気室ながら、フタ裏に小物用ポケットがあり、ライターやペグのキャップ、ファイヤースターターなどの小さなアイテムを仕分けることが可能です。
Lサイズなら、大型の焚き火台やIGTの脚、50cm級の長尺ペグ、調理器具類も収納でき、収納力に不足はありません。
2. 【耐久性】7年以上使える、ハードケースに匹敵する強さ
特筆すべきはその耐久性。マルチコンテナは“ソフトケース”に分類されますが、実際は相当頑丈です。6号帆布は非常に厚手で、破れやほつれに強く、さらに底面と側面に硬い補強板が入っているため、型崩れせず、重い道具も安定して持ち運べます。
実際に5年〜7年以上使っても破損なしというレビューも多く、過酷なキャンプ環境にも耐える信頼性があります。
3. 【持ち運びやすさ】2種の持ち手が便利すぎる
中央持ち手に加えて、両端にもハンドルがついており、特にLサイズなど長物を収納したときに非常に便利です。片手で持つと重心が偏る場合でも、両手持ちでしっかりバランスが取れるため、女性キャンパーでも扱いやすいと感じるでしょう。
Sユニットには両端持ち手はありませんが、その分コンパクトでIGT(アイアングリルテーブル)用の脚や天板を持ち運ぶのに適しています。
デザインと所有欲
キャンプ道具において“見た目”も重要です。マルチコンテナは、無駄を排したシンプルなフォルムに、スノーピークらしいロゴとナチュラルなカラーリング(ベージュ×黒ハンドル)。ギアボックスにありがちな「ただの入れ物」とは一線を画す、上質な雰囲気があります。
サイト全体の雰囲気を壊さず、むしろ引き締めてくれるような佇まいは、持っているだけで満足感があります。
注意点とデメリット
■ 雨に弱い(防水ではない)
帆布製なので、当然ながら完全防水ではありません。内部に水気のあるギアをそのまま収納するのは避け、必要に応じて防水バッグとの併用が望ましいです。
■ ハードケースには劣る衝撃吸収性
ハードシェルのような完全防御は期待できないため、精密機器や壊れ物を入れるにはやや不安あり。中に緩衝材を仕込むなど工夫が必要です。
■ 価格はやや高め
Sサイズでも8,000円前後〜、Lサイズでは1万円を超えます。安価なナイロンケースと比べると高価ですが、「何年も使える」「見た目が良い」「中身が守られる」という点を重視するなら納得の価格帯です。
結論:長く使える“収納道具”を探す人におすすめ
マルチコンテナは、単なる「収納袋」ではなく、ギアの一部として活躍する存在です。収納力、耐久性、持ち運びのしやすさ、そしてデザイン性のすべてを高いレベルで両立しており、「とりあえずの収納」では満足できない人にこそ選んでほしい製品です。
価格は少々高めですが、そのぶん長く、安心して使える品質があります。キャンプギアを大切に扱いたい人、収納の乱雑さに悩んでいる人にとって、頼れる相棒になること間違いありません。